忍法創世記 (小学館文庫)



忍法創世記 (小学館文庫)
忍法創世記 (小学館文庫)

ジャンル:歴史,日本史,西洋史,世界史
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幻の忍法帖

忍法帖で未刊行のものがあったと知ったときは驚いた。
本書が刊行されたとき、気を失うのではないかと思うくらい興奮したものだ。
本書を読了して、あらためて山田氏自身の自作への辛口の評価にヤキモキしてしまった。氏のこの評価ゆえに刊行されない作品がまだあるのではないかと落ち着かなくなってくる。
で、本作なのだが他の忍法帖とくらべてみると中の上くらいの出来だと思った。そう、いままで刊行されなかったのが不思議なほどおもしろかったのだ。
本書は、忍法帖に散見されるトーナメント形式で物語がすすめられていく。鏡像ともいうべき、敵、味方が同じ人数、同じ技、同じ条件で戦っていくというあのパターンである。
しかし、本書にはそこに三種の神器がからんでくるので、少し様相が変わってくる。それと時代が室町に設定されているところにも注目したい。柳生と伊賀の戦いを描いているのだが、この時代まだどちらも後年のようにその技が確立されていないのである。だからそこにプロ同士の完成された戦いではないユーモラスな味が出てくるのである。
後年、山田氏がもっともおもしろい時代だと注目していたこの室町時代物のさきがけとなる作品でもあり、忍法帖最後の作品でもある本書はそういった意味でも重要な作品なのではないかと思う。
本書もいつもの例にもれず、やはりラストは壮絶なものとなる。まさしく鮮やかな反転だ。本書を読んで権力に翻弄される登場人物たちに乾いた哀しみをおぼえるのはぼくだけではないだろう。
封印された忍法帖

作者が駄作の烙印を押しこれまで日の目を見る事のなかった幻の忍法帖。
しかし、作品の完成度は高く忍法帖の水準をはるかにクリアする作品でした。

ではなぜ作者がお蔵入りにしたのかというと、今作は三種の神器がテーマであり
その設定がある方面から苦情が出、やむなく途中からストーリーを変更したため
ではないでしょうか。
現に、前半と後半ではストーリーの主軸が全く違います。
「大義親を滅す」を嘲笑する山田風太郎が、初めから後半のストーリーをこのように
考えていただろうかと思ってしまうのです。
ともあれ、風太郎ファンならばぜひお勧めしたい忍法帖です。



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